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EU 首脳会議、EU 憲法草案で合意できず

  欧州連合首脳会議は1213日(土)、EU 憲法草案で合意できず、決裂した。争点は閣僚理事会の決定方式で、2000年のニース首脳会議で決定した方式の維持を主張するポーランドとスペインが EU 憲法草案の新しい方式を最後まで拒否したために、話し合いが決裂した。来年1月に議長国になるアイルランドの下で、引き続き協議が行われる予定であるが、具体的な日程は決まっていない。

 ドイツやフランスが支持する EU 憲法草案の決定方式は人口比を強く反映している。その可決の条件は、1)過半数の加盟国が賛成すること(加盟国25カ国のうち、最低13カ国の賛成が必要)、2)同時に、その賛成国の人口が EU 全体の60%以上であること。

 それに対して、スペインとポーランドはニース条約で規定された現行の決定方式の維持を主張している。それによると、ドイツ・フランス・イギリス・イタリアは各29票、スペインとポーランドは各27票を配分されており、ドイツは約2倍の人口を有するにもかかわらず、決定の影響力ではスペインやポーランドとほぼ同じである。EU 憲法案の新方式では影響力が低下することから、スペインとポーランドはこれに反対し、譲歩しなかった。

 首脳会議の決裂後、アイルランドの外相は、来年3月に今後の協議進行についての提案をすると語った。スウェーデンのペルソン首相は、本格的な交渉は2005年上半期(ルクセンブルクが議長国)になるだろうと悲観的な見方をしている。

新しい加盟国10カ国を迎える欧州連合は全部で25カ国に拡大するが、当分は、すでに15カ国でも問題がある現行の決定方式で決議しなければならない。ドイツとフランスは、今回の決裂にもかかわらず、欧州連合は危機に陥っていないという見解を表明した。

 しかし、シュレーダー独首相は、今回の決裂の論理的な帰結として、欧州統合促進を求めるいくつかの国がより密接に協力し合い、欧州は2つの速度で進行することになるだろうと語った。シラク仏大統領もイギリスを含めた「パイオニアグループ(ドイツ、フランス、イタリア、オランダ、ベルギー、ルクセンブルク)」が防衛・司法・経済政策などでより密接に協力し合うことになると見ている。これらの国が起動力となって、欧州統合を加速するという。

 それに対して、ポーランドとスペインの首相は、2つの速度による欧州の分裂を警告して、拡大した欧州連合は同じ速度で、共同で発展していかなければならないと語った。

20031215日)

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