オバサンの独り言

 今年もまた待降節(アドヴェント)の季節となり、ドイツの町々はクリスマス市で賑わい始めた。不況からなかなか抜け出せず、明るいニュースばかりではないが、クリスマスまでの4週間は大人も子供も一年で最も心が弾むときである。

 先日読んだ新聞記事によると、来年から導入される失業手当 II (独身者の場合、月額345ユーロ)の内訳は次のようになるそうだ。食費132,72ユーロ(一日平均4,42ユーロ)、外食費10,33ユーロ、衣類・靴34,13ユーロ、電気代21,39ユーロ、電話代17,44ユーロ、余暇・文化38,72ユーロ(新聞雑誌10,42ユーロ、本6,03ユーロ、余暇施設訪問4,61ユーロ)、美容院・化粧品9,87ユーロ、交通費18,10ユーロ・・・。(11月26日現在、1ユーロ=約136円)

 その翌日の経済紙には、ドイツ企業の役員の年収が欧州で最も高く、英国やフランスの役員よりも30%も多いという記事が掲載されていた。短期的な業績に対するボーナスでは米国をも上回っているとか。しかも、短期的業績目標がそれほど高くないため、ボーナス収入がかなり安定しているそうだ。ちなみに、ドイツ銀行のアッカーマン頭取の昨年の年収は1100万ユーロ、ダイムラー・クライスラーのシュレンプ社長の年収は763万ユーロと推定されている。

シュピーゲル誌の報道によると、現政権になってから、ドイツにおける貧富の差が拡大しており、金持ちはますます裕福に、貧乏人はますます貧しくなっているという。ドイツは役員の年収だけでなく、貧富の差まで、米国に近づいているようだ。

 上を見れば切りがない。下を見ても切りがない。財産は数字で比較できるが、幸福感は比較できない。個人個人の価値観が違うからだ。日常生活の中に小さな幸せをいっぱい見出せる人こそが本当の幸せ者なのではないだろうか。どんなにささやかであっても、暖房の効いた暖かな部屋で愛する家族と一緒にクリスマスを祝うことのできる幸せを幸せと感じることのできる幸せを思う。貧乏人の負け惜しみだろうか。

2004年11月29日)

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