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教師の偏見で子供の進学コースが左右される?

   小学生の読解力に関する国際調査 Iglu の研究者であるボス教授によると、小学校4年生の進学コース決定はギャンブルのようなもので、学校の進学先推薦は教師の恣意に依存しているようだ。

 ブルマーン連邦教育相は、学校の進学コース推薦の半分は間違っていると語った。ボス教授によると、間違っているのは学校の推薦ではなく、推薦の基盤になる成績評価であるという。ドイツのほとんどの州では、5年生になるときの学校の進学コース推薦は、生徒の数学とドイツ語の成績に基づいている。しかし、生徒の実際の成績が教師の成績評価に反映していないことに問題があるという。

 その原因は、成績評価のための統一した標準がないことにある。教師は自分のクラスだけを見ており、その際に、クラスの生徒の成績と社会的構成が重要になる。したがって、裕福な家庭の多い地区の学校における成績評価と社会的問題を抱える家庭の多い地区の学校の成績評価を比較するのは極めて難しい。また、ある生徒の成績はある学校では「2」と評価されるが、他の学校では「4」と評価されるというように、成績評価における学校ごとの差も大きい。その結果、能力水準の異なる生徒がギムナージウムに入学してくる。その結果がよくないことは Pisa 調査結果でも明らかである。

 Iglu 調査では、バーデン・ヴュルテンベルク州が国内1位であったが、同州では小学生の進学コース選別が最も社会層に依存しているという。病院長や役員の子供がギムナージウムに推薦される可能性は、労働者の同じ成績の子供よりも 3,6倍も高い。また、同州は、ギムナージウムに推薦される男子生徒が女子生徒よりも顕著に多い唯一の州でもある。

 ノルドライン・ヴェストファーレン州では、3人に1人の子供が成績上はギムナージウムに推薦できるにもかかわらず、推薦されていない。それに対して、ヘッセン州(全国3位)では、子供の実際の成績に基づいて相応の正しい学校に推薦されている。バイエルン州(全国2位)の学校では、中程度の成績の生徒のほぼ3分の2がレアールシューレではなく、ハウプトシューレかギムナージウムに推薦されている。

 学校の推薦に間違いがあるのはドイツの学校制度にも起因しており、完全に改善することはできないが、選別を4年生の後ではなく、6年生の後に遅らせたり、他の要素も成績評価に考慮するなどの方法が考えられるという。また、生徒がハウプトシューレからレアールシューレに、レアールシューレからギムナージウムに移るコース変更をもっと容易にしなければならない。例えば、バーデン・ヴュルテンベルク州では、3分の1の生徒がレアールシューレに続く職業専門ギムナージウムで高校卒業資格試験を受けている。早い段階で間違った選別をされた生徒でも、少なくとも後に、それを修正することができることが大切である。

2004216日)

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