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連邦内閣、新しい失業者統計の導入を決定

   連邦内閣は、国際労働機関 ILO の国際基準に基づく新しい労働市場統計の導入を決定した。それにより、ドイツは、少なくとも四半期ごとに ILO 基準に基づく失業者数を報告するという欧州連合の規則に従うことになる。閣議決定された新規定は連邦参議院の同意を必要とする。

 労働雇用エージェンシーが毎月発表する失業者数はかなり正確な数字だと思われているが、実際の労働市場の状況を反映していない。例えば、職場を探しているにもかかわらず、職業トレーニングを受けていれば失業者統計に把握されない。また、週に2、3時間しか働かない人は、職場があるにもかかわらず、失業者として登録されている。従って、連邦雇用エージェンシーの統計の信頼性が疑問視される一方、他の国のデータとの比較も難しいのが現状である。

 そこで、連邦政府は従来の連邦雇用エージェンシーの失業者統計に加えて、ILO 基準に基づく追加統計も導入する。その結果、国際比較が可能になるという。失業者の概念が異なるために、ILO 基準の失業者数は連邦雇用エージェンシーの失業者数よりも 50万~60万人少なくなると予想される。

 ILO 基準に基づく失業者の概念では、労働時間が週1時間以下の人が失業者とみなされるが、連邦雇用エージェンシーの失業者の概念では、労働時間が週15時間以下の人が失業者とみなされる(失業登録している人は週15時間までは働いてもよい)。しかも、ILO 基準で失業者とみなされるためには、過去4週間に積極的に職場を探していなければならず、2週間以内に職場で働く用意がなければならない。この基準は連邦雇用エージェンシーの統計では重要ではない。

 連邦政府によると、新しい統計の管轄官庁は連邦雇用エージェンシーではなく、連邦統計局である。連邦統計局は今秋から電話インタビューでデータを収集・把握する。毎月、無作為抽出で選んだ約35000世帯を対象に調査するという。

 専門家は ILO 基準の失業者統計の導入を歓迎している。ILO 統計では全く仕事のない人の数を把握できるのに対して、連邦雇用エージェンシーの統計は原則的に労働市場の問題(例えば、ミニジョブが雇用創出に役立つか)を把握するのに役立つという。

2004223日)

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