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外国留学する大学生が増える

 ブルマーン連邦教育相が発表した「大学の国際化」調査結果によると、外国に留学するドイツ人大学生が顕著に増えている。2003年はドイツ人学生の13%が1学期~数学期間外国に留学しており(1980年の3倍)、外国での実習や語学勉強も含めると、大学生の27%が勉学のために外国に滞在した(1991年は16%)。男女別で見ると、女性では卒業までに約3分の1の学生が外国に滞在した経験があるのに対して、男性では4分の1と、男女差が著しい。外国へ留学した学生56600人の留学先は18,8%が英国、16,6%が米国、11%がスイス、10,4%がフランスであった。

 同時に、ドイツに留学する大学生も増えている。2002/2003年度冬学期はドイツの大学で学ぶ外国人学生数は約227000人であった。その内、アジア人学生が56000人で、欧州人(特に東欧)に次いで2番目に多い。国別でみると、中国人が1位で(19374人)、外国人大学生の8,9%を占めている。次がポーランド人、ブルガリア人、ロシア人、モロッコ人。西欧諸国からの学生の絶対数は多少上昇したが、その割合は大幅に低下している。米国からの学生は2796人で、減少傾向にある。ブルマーン連邦教育相によると、ドイツで学ぶ大学生全体の12%が外国人学生であるのに対して、米国では約4%に過ぎないという。

 外国人学生の79%はドイツ留学の理由として、「職業上のチャンスが大きい」ことを挙げている。54%は「授業料なし」がドイツ留学の決定要因であったと回答している。但し、開発途上国からの学生では68%に達しているのに対して、工業先進国からの学生では29%だった。ドイツの大学が授業料を徴収しないために、大学で勉強したい外国人がドイツに来ているのであって、優秀な外国人留学生は少ないという批判に対して、ブルマーン連邦教育相は「大変優秀な学生もいる」と語った。

 ブルマーン連邦教育相は、「ドイツの大学生は英国、オーストラリアないし米国の大学生よりもはるかに移動性がある」と評価している。留学の増加は特に2001年の連邦奨学資金法改革に起因しているという。同法改正により、3学期を終了した学生は外国での勉学にも連邦奨学金を受給できるようになった。しかし、ドイツ学生相互扶助会(DSW)によると、留学でも社会的格差が見られ、高所得者層の子供が留学する件数は低所得者層の子供の場合の約2倍である。そこで、DSWは連邦奨学資金法のさらなる改革と奨励プログラムの充実化を政府に求めている。

 ブルマーン連邦教育相は、90年代末まで続いていたドイツ人大学生や研究者の外国への流出傾向がストップしたと見ている。「ドイツは優秀な人材を獲得する国際競争で勝者に属する」と語った。新設されたジュニア教授職の15%は外国からの若い研究者と外国から帰ってきたドイツ人研究者であるという。

 ドイツ学生相互扶助会によると、多くの外国人留学生は学費や部屋探しで問題を抱えており、約3分の2が生活費のためにアルバイトをしなければならない。ドイツ人学生との接触が少ないこともドイツ滞在と学業の成果にネガティブに影響しているという。

2005年6月6日)

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