ドイツのニュース

全国文相会議、州別PISA調査結果を発表

   全国文相会議は7月14日(木)、経済協力開発機構(OECD)の2003年度国際学習到達度調査(PISA)の州別調査結果を発表した。ドイツは第1回目(2000年度)の調査で学力低下のショックを受けたが、今回は全州の生徒の学力が上昇しており、特に旧東独の改善が著しかった。バイエルン州が他に大差をつけて1位を守り、ザクセン州が2位に上昇した。最下位は再びブレーメンで、最も大きな改善を示したのはザクセン・アンハルト州だった。(2004年12月13日のニュースを参照)

 2003年度PISA調査には1487校の44580人(15歳の生徒)が参加し、数学/読解力/自然科学/問題解決能力のテストが実施された。数学では、1位がバイエルン、2位がザクセン、3位がバーデン・ヴュルテンベルク、4位がチューリンゲンで、14位がノルドライン・ヴェストファーレン、15位がハンブルク、16位がブレーメン。バイエルン州は国際比較ではフィンランド、韓国、オランダ、日本に次いで5位。

 自然科学では、1位がバイエルン、2位がザクセン、3位がバーデン・ヴュルテンベルク、4位がチューリンゲンで、14位がハンブルク、15位がブランデンブルク、16位がブレーメン。国際比較では、バイエルン州はフィンランド、日本、韓国に次いで4位。

 読解力では、1位バイエルン、2位バーデン・ヴュルテンベルク、3位ザクセン、4位チューリンゲンで、13位ハンブルク/ブランデンブルク、15位メクレンブルク・フォアポメルン、16位ブレーメン。国際比較では、バイエルン州はフィンランド、韓国に次いで3位。

 問題解決能力では、1位バイエルン、2位ザクセン、3位バーデン・ヴュルテンベルク、4位チューリンゲンで、14位ノルドライン・ヴェストファーレン/ザールランド、16位ブレーメン。国際比較では、バイエルン州は韓国、フィンランド、日本に次いで4位。

 最下位のブレーメンは前回よりも点数を上げたものの、依然として1位のバイエルン州との間に数学では約1年半の格差があり、全体的に南ドイツと北ドイツの格差が顕著になった。2000年の調査では、数学でOECD平均以上が2州だけであったが、2003年の調査では5州がOECD平均を上回り、7州がOECD平均値内に入った。OECD平均を下回ったのはベルリン、ノルドライン・ヴェストファーレン、ハンブルク、ブレーメン。

 読解力では、3州がOECD平均を上回り、4州が平均値内、9州がOECD平均を下回った。特に点数が低かったのはノルドライン・ヴェストファーレン、ハンブルク、ブランデンブルク、メクレンブルク・フォアポメルン、ブレーメン。自然科学では9州がOECD平均に達した。平均以下はノルドライン・ヴェストファーレン、ハンブルク、ブランデンブルク、ブレーメン。問題解決能力では、OECD平均以下だったのはノルドライン・ヴェストファーレン、ザールランド、ブレーメン。すべての4分野でOECD平均を上回ったのはバイエルン、ザクセン、バーデン・ヴュルテンベルクだけであった。

 2回目の調査でも、生徒の学力が社会的出身(親の教育水準、職業、収入などの社会的要因)に大きく依存していることが顕著であるが、すべての州でこの傾向が見られるわけではない。例えば、バーデン・ヴュルテンベルク州では、社会的出身による格差が全く見られなかった。外国人の同化が他の州よりも進んでいることがその要因として考えられる。バイエルン、チューリンゲン、ザクセン、ブランデンブルクでも社会的出身による格差が少なかった。格差が大きかったのはブレーメンとノルドライン・ヴェストファーレン。しかし、国際比較で見ると、バイエルン州でもフィンランドや日本、韓国よりも社会的出身による格差が大きい。

 また、今回の調査では、特に旧東独数学の学力が大きく改善したことが明らかになった。全体的に、数学と自然科学では著しい改善が見られたが、読解力ではそれほどの改善が見られなかった。

 全国文相会議は今回の改善を教育制度改革の成果として評価し、引き続き改革路線を継続する方針であることを明らかにした。PISA専門家は、調査結果はドイツ教育制度の「実質的な変更」を示していると評価する一方で、学力の低い生徒に対する支援にまだ大きな問題が残されていることを指摘した。ブルマーン連邦教育相はPISA調査の帰結として、全日制学校(Ganztagsschule)の普及と幼児教育の改善を各州政府に求めている。

 一方、州別比較を背景に、ドイツ学校制度論争が再び活発になっている。ブルマーン連邦教育相は、4年生の後に進学コースを分けてしまう現行制度が正しいかどうかを検討しなければならないと語った。それに対して、バーデン・ヴュルテンベルク州のシャヴァン教育相は、州別比較を見れば、現行の学校制度(4年生の後に3つの進学コース)の将来性を疑う者はいないと反論している。バイエルン州のシュトイバー州首相は、「PISA調査結果はキリスト教民主同盟・社会同盟の教育政策の成果を表している」として、「バイエルン、バーデン・ヴュルテンベルク、ザクセン、チューリンゲンがすべての4分野で上位を占めているのは偶然ではない」と語った。

2005年7月18日)

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