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極右主義思想はドイツ社会全体に浸透している

 

 フリードリヒ・エベルト財団の委託でライプチッヒ大学が14歳以上のドイツ人約5000人を対象に実施した世論調査結果によると、ドイツでは極右主義思想がすべての階層、地域、年齢層に広く浸透している。研究者は、「極右主義的考え方は周辺現象ではなく、社会の核心の問題である」と指摘し

 回答したドイツ人の26,7%は反外国人的で、8,6%(旧西独9,1%、旧東独6,6%)は極右主義的世界像をもっている。15,2%は「ドイツを強力に統治する指導者(総統)」を望んでおり、9%は独裁制を「事情によってはより良い国家形態」と考えている。26%は「民族共同体」を具現する統一党を望んでいる。約15%は「ドイツ人は生まれつき、他の民族より優れている」と確信している。

 特に反外国人的考え方が社会に広く浸透しており(旧東独30,6%、旧西独25,7%)、旧東独では43,8%、旧西独では35,2%が「外国人はドイツの社会福祉制度を利用するためにだけドイツに来る」と考えている。ドイツ全体では、39,1%が「ドイツにおける外国人の割合が危険なほどに過度に増大している」という意見である。

 反ユダヤ主義も広く浸透している(旧西独9,5%、旧東独4,2%)。回答者の17,8%は「ユダヤ人の影響力が大きすぎる」と考えており、13,8%は「ユダヤ人は自分の目的を達成するために汚い策略を使う」という意見である。反外国人的考え方は特に旧東独に、反ユダヤ主義的考え方は特に旧西独に浸透している。

 ライプチッヒ大学の研究者は極右主義を若者の問題として扱うことを警告している。極右主義の最大のグループは若者ではなく、年金受給者や早期退職者、失業者であるという。反外国人・反ユダヤ主義・ナチス過小評価は60歳以上の人に最も浸透している。自分の人生に不満足で、政治的影響力がないと感じている人が過激な考えをもつ傾向が見られる。研究者は、特に旧東独の若者が極右主義者だという主張を否定している。また、「左翼」と自称する人でさえ、必ずしも極右主義的見解を拒否していないことを指摘した。

 低学歴人の方が極右主義になる可能性が明らかに高いが、調査では、大卒者の12,3%が反外国人的、4,1%が反ユダヤ主義的で、2,8%がナチスを過小評価していた。

 一方、州別で見ると、極右主義的思想はバイエルン州で最も浸透している。バイエルン州では回答者714人の内42,4%が反外国人的、16,4%が反ユダヤ主義的で、10,6%は独裁制を支持し、8,1%はナチスを過小評価していた。ノルドライン・ヴェストファーレン州では24,5%が反外国人的、10,4%が反ユダヤ主義的、2,7%が独裁制を支持し、4,2%がナチスを過小評価した。

 それに対して、メクレンブルク・フォアポメルン州では、反ユダヤ主義は5,3%に過ぎず、反外国人的見解の人は34,5%、独裁制の支持者は20,5%、ナチスを過小評価する人は4,4%であった。反外国人的見解の人がバイエルン州よりも多かったのはブランデンブルク州(49,7%)だけだった。研究者はこの調査結果から、極右主義者は旧東独にいるという主張の誤りを指摘した。

2006年11月19日)

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