オバサンの独り言

 

 地球温暖化が21世紀の主要課題としてクローズアップされて おり、環境保護先進国を自負するドイツは大気中に排出される二酸化炭素量を削減すべく苦心しているが、タバコの煙による「公害問題」への対処も迫られている。

 タバコが喫煙者だけでなく、間接喫煙者にも有害であることは医学的に実証済みである。タバコが原因で死亡する人が年々増えている 状況を鑑み、愛煙家の多いフランスやイタリアでも全面禁煙が法制化された。

 リベラルを自負するドイツは法律による強制ではなく、任意の自主規制を優先してきた。しかし、自主規制が全く機能していないため、法制化に踏み切らざるを得なくなった。ドイツで自主規制がうまくいったことがあるだろうか。ドイツ人には法律が必要なのである。但し、法律があってもコントロールが徹底せず、コントロールされれば文句を言うのがドイツ人であるが・・・。

 過去の発言を180度ひっくり返すことなんか何とも思わない政治家たちは、社会のトレンドに遅れまいと勇んで非喫煙者保護法案を作ったが、ドイツ伝統の連邦制度が大きく立ちはだかった。すなわち、飲食店における禁煙は州の管轄範囲であるため、連邦は指をくわえて見守るしかないのである。閉店法や教育制度の場合と同じである。

 予想通り、16州は統一した禁煙法で合意できず、様々な例外規定を認めた。「原則的には禁煙、ただし・・・は例外である」のオンパレードで、しかも例外規定は州ごとに異なる。「ビール王国」バイエルン州ではもちろん仮設ビアホールは例外、ザールランド州では喫煙マークの付いた酒場は例外といった具合である。

 タバコが喫煙者だけに有害ならば、アルコールや麻薬のように、本人の問題として片付けられるかもしれないが、間接喫煙も有害であるところにタバコの問題性がある。喫煙者には、自分の健康だけでなく、「密封された喫煙室」で働く従業員の健康も害していることを認識してほしいと思う。個人住居での喫煙は自由であるが、喫煙者は家族の健康も害していることを自覚して、喫煙しない人がいる部屋では吸わないといった配慮を望みたい。

 タバコやパイプには、労働者階級、反体制派のインテリ、女性解放運動、反抗期の若者というように、その時代時代の象徴的な意味合いがあった。「自由」のシンボルとして「クール」だったのである。しかし、今では「タバコは百害あって一利なし」であることが科学的に実証されているのだから、まずは非喫煙者を保護し、喫煙者も禁煙の方向へ導く「人道的政策」が必要だと思う。

 そのためには、禁煙の法制化と並行して、タバコの有害性を認識させる啓蒙活動が不可欠である。特に学校で徹底した啓蒙活動をしなければならない。「鉄は熱いうちに打て」という。子供の啓蒙が最も効果的である。

2007年3月28日)

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