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連邦内閣、年金権調整改革法案を閣議決定

   

 邦内閣は521日(水)、離婚者が婚姻中に取得した年金権の分配を公平かつ容易にするための年金権調整改革法案を閣議決定した。婚姻中に取得した年金権の分配の原則は変わらない。連邦議会と連邦参議院が同意すれば、200971日に発効する予定である。

  法案の要旨は次の通りである。

  • 婚姻期間中に取得した年金権は各年金保険機関において夫婦の間で分割される。調整権者たる配偶者は年金調整義務を有する配偶者の各年金保険機関において独自の年金請求権を取得する。

  • 年金権は、年金受給開始時点ではなく、離婚の時点で、完全かつ最終的に分割される(clean cut)。

  • この年金権調整は、法定年金だけでなく、企業年金、民間年金保険などの追加年金にも適用される。

  • 些細な調整(月額25ユーロ以下)は放棄される。

  • 調整権者たる配偶者と年金保険機関が合意すれば、一回限りの支払による清算(その配偶者が選択した年金保険機関に金額を支払う)も可能である。年金保険機関は分配経費を離婚者に割り当てることができる。

  • 婚姻期間が2年以下の場合には、年金権調整は適用されない。

  • 公証人に認証された夫婦財産契約で年金権調整を放棄することができる。

  • 年金権調整改革法は200971日以降の離婚にのみ適用される。

  ツィプリース連邦法務相は、「婚姻中に取得した年金が夫婦間で平等に分割される」と語った。老後保障において追加年金の重要性が増していることから、追加年金への年金権調整の適用は有意義であるという。  
  原則的に、夫婦が婚姻期間中に取得した年金権は離婚の際に平等に半分ずつ分配されなければならない。しかし、現行法では、法定年金以外の追加年金の予測算定が不正確かつ複雑なうえ、清算が法定年金を通して行われるため(価値の歪み)、離婚者、特に女性に不利になっていた。  
 
例えば、企業年金は被保険者の年金受給開始時点で分配されるため、離婚後、前夫と全くコンタクトのなかった女性が年金権請求を断念する(せざるを得ない)ケースが多かったのである。新規定はこの算定・清算方法を廃止する

2008年6月10日)

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