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ドイツにおけるボローニャ・プロセスは失敗

   

    ドイツ大学連盟は、「ドイツにおけるボローニャ・プロセスは広範囲にわたって失敗した」という見解を明らかにした。欧州高等教育改革が始まってから9年が経つが、重要な改革目標は一部しか達成されていないとして、欧州高等教育再改革を求めている。

   ボローニャ・プロセスは移動性を高めるどころか、かえって低下させた。国内外の大学間の移動は詰め込みカリキュラムの学士課程では難しく、欧州高等教育圏の創出という改革の最大目標が失敗に終わっていると厳しく評価している。

   フレキシブルでない学士課程では中途退学者数の削減を果たせず、かえって中途退学率が大学で20%、専門単科大学で22%に上昇している。特に理工系の中途退学率が高く、理学部では2人に1人、工学部では3人に1人が学位を取得できない。

   欧州単位互換制度(ECTS)が国によって異なって適用されているため、学習成果、質を比較できないという問題もある。ボローニャ・プロセスが目指す自動的な単位互換、認証からは程遠い状況にあるという。

   ドイツ大学連盟はボローニャ・プロセスの問題点を過小評価することを警告している。一貫した方向修正をしない限り、ドイツにおけるボローニャ・プロセスを救うことはできないと悲観的である。

   そこで、同連盟は、3年間に短縮された学士課程だけでは従来のような十分な高等教育はできないとして、学士の代わりに修士を大学修了資格にするよう提案している。現在、学生の約2030%が修士課程を修了しているが、これを7080%に増やさなければならないという。但し、学士課程に単位を追加して、就職への最初のステップにすることも可能と見ている。

   また、ドイツ大学連盟は、これまでの経験を踏まえて、ボローニャ・プロセスをまだ導入していない学科には、新しい学士・修士課程がドイツ伝統のディプロームよりも優れていることが実証されるまで導入しないよう求めている。現在、全体のほぼ70%の学科がボローニャ・プロセスに切り替えている。

   連邦教育省の調査結果によると、短縮された学士課程に疑問を呈しているのは大学の教授だけでなく、学生も学士課程の質に疑問を抱いており、「二流の大卒者」になることを懸念している。学士課程の学生はストレス、経済的問題、雇用市場で挫折する不安を訴えている。

2008年9月26日)

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