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連邦内閣、移民の職業資格に関するガイドラインを決定

   

    連邦内閣は12月9日(水)、移民の職業資格の認定に関する法案のガイドラインを決定した。移住者が外国で取得した職業資格の認定手続きが簡略化される。

   シャヴァン連邦教育相は、「認定基準の緩和は専門職者不足への対応と移住者の同化の改善を目的としている」と語った。透明かつ簡略化された手続きへの大きな第一歩だという。

   連邦政府のガイドラインによると、ドイツ雇用市場へのアクセスを容易にするために、2011年1月から移住者は外国で取得した職業資格の認定手続きを請求する法的権利を取得する。これまではEU市民と(東欧からの)遅い引揚者だけにこの権利が与えられていた。但し、職業資格取得後10年以上経過していないことを前提とする。

   また、認定手続きを大幅に簡略化、敏速化し、16の連邦州が統一した同じ規定に基づいて手続きをする。手続き期間は最高で 6ヶ月間とする。各州に手続きの相談窓口を設置する。

   これまでドイツでは、外国で取得した職業資格が認められなかったために、多くの移住者が資格を持つ職場に就くことができなかった。自国では医者だった移住者がドイツでは清掃婦として働いたり、自国で技師だった人が建設労働者やタクシー運転手として働くというようなケースが多かった。

   外国で大学を卒業した移住者約80万人のうち、半分以上が本来の資格以下の職場に従事していると推定されている。この状況は大卒の移住者の高い失業率(約 8%)に反映している(移住者以外では 4%)。さらに約180万人の移住者がそのほかの職業資格を外国で取得していると見られている。

   シャヴァン連邦教育相は、2020年には25歳以下のドイツ人が現在よりも300万人以上少なくなると予測されていることを指摘して、「少子高齢化社会では国民経済的にも移住者の資格認定の改善が不可欠である」と語った。但し、ドイツの資格の価値を下げるものではないことを強調した。

   ドイツでは、外国で学校教育ないし職業教育を修了した人が287万人いる(ドイツ人も含まれている)。その内の16%だけが資格を持つ職業に従事していると見られる。

   連邦政府が決定した新規定の恩恵を受けられる移住者は約50万人と推定されている。故郷で職業資格を取得してから10年以上経過している中高年の移住者は恩恵を受けられない。 

2009年12月18日)

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