オバサンの独り言

 

  7月は一年中で一番暑い月のはずなのだが、今年は雨が多く、肌寒い日が続いた。人々は晴れ間をみてはビアガーデンやオープンカフェーを楽しんでいた。

   何はともあれ、バイエルン州もいよいよ 8月 3日から夏休みに入る。例年のことながら、どこかの州が夏休みに入るたびに、その週末は高速道路と空港が渋滞になる。太陽を求めて民族移動が始まるからである。

   ところが、旅行好きなドイツ人の休暇の過ごし方に変化が見られるという。市場調査会社の調査結果によると、国内で休暇を過ごす人が増えている。ドイツ人が休暇を過ごしたい国のランキングでは、1位が米国、2位がオーストラリア、3位がドイツだった。

   遠い外国旅行から近場の国内旅行への移行、国内旅行の需要の増加が顕著になっている。観光業界によると、ドイツ人の旅行好きに変わりはないが、予約から出発までの期間と旅行日数が短くなっており、計画を立てずに旅行直前に決める人が多くなったという。

   ドイツ人の夏休みというと、長期間の外国旅行が主流で、日本人は羨ましく思ったものだが、今は「近場で短期間の旅行」と、日本人並みになってきたようだ。

   専門家はこの変化の理由として、経済危機を要因とする将来への不安を挙げている。「休暇イコール旅行」ではなくなったという。昨年、休暇旅行をしたドイツ人は全体の52,1%だけだった。多くのドイツ人にとって休暇旅行は「手の届かぬ贅沢」である。

   交通、食事、宿泊、観光の費用はドイツ国内では平均で1日当たり 73ユーロだが、外国旅行では 81ユーロ。旅行費用を比較すると、国内旅行の費用が平均で 656ユーロなのに対して、オーストラリア旅行は3074ユーロ、米国旅行は2367ユーロ、スペインとトルコは1092ユーロ、イタリアは1018ユーロ、オーストリアは 825ユーロ。国内旅行が一番安上がりのようだ。

   さらに専門家は、「ドイツ人の価値観が変わり、国内で休暇を過ごすことが恥ずかしいことでも面目を失うことでもなくなった」と分析している。3年前にドイツで開催され、熱狂的な国の祭典となったサッカーワールドカップ以来、ドイツ人の自覚と国民意識が高まったことも「ドイツ再発見」に繋がっているという。

   中高年のドイツ人はすでに何度も外国旅行をしているし、若者は家族旅行だけでなく、留学の機会にも恵まれている。インターネットの時代には世界中の情報がリアルタイムで、しかもビジュアルに入ってくる。外国旅行はプレステージでも憧れでもなくなりつつあるのだ。

   国内のホテルはビジネス客の減少を補うべく、割引や特別サービスなどで観光客の勧誘に努めている。国内で人気のある観光地は北海とバルト海の沿岸地方、テューリンゲン山地、バイエルン、シュヴァルツヴァルト。エステティックから体験ハイキング、サイクリングまで様々なアクティビティが豊富に用意されているとか。

   南国の浜辺に一日中寝転んで、食べて飲んで過ごせば、皮膚がんとメタボリックシンドロームのリスクは急上昇する。長距離移動はストレスがたまるだけでなく、環境と資源にもマイナスになる。

   それに対して、勝手知ったる国内の旅行はストレスが少なく、地元観光業を支える。そして、ドイツの自然と文化の再発見。問題はお天気だが、こればかりは自然に任せるしかない。柔軟に対応すれば、雨もまた風情あり・・・か。

   エコノミーとエコロジー、加えて健康にも良い国内旅行は一石三鳥のようである。

2009年7月21日)

戻る