ドイツのニュース

2050年までに認知症患者が倍増する

   

    フリッツ・ベスケ疾病保険制度研究所(IGSF)が連邦統計局のデータを基に予測算出した調査結果では、現行の疾病保険制度は高齢化により維持が困難になることが明らかになった。

   調査結果によると、2050年にはドイツの人口は6880万人に縮小するが、65歳以上の年齢層は38%、80歳以上の年齢層は156%増加する。

   高齢者の増加に伴い、病人も増える。網膜症は90万人増の160万人、糖尿病は780万人に増加する。年間548000人が心筋梗塞を患う。卒中発作は年間30万人(62%増)。認知症患者は110万人から220万人に倍増する。

   2007年から2050年までの病人数(人口10万人当たりの病人数)の増加率を病気別にみると、肺炎が198%増、網膜症が169%増、認知症が144%増、大腿頚部骨折が125%増、心筋梗塞が109%増、卒中発作が94%増、緑内障が72%増、難聴が53%増、癌が52%増、骨粗鬆症が50%増、COPD(慢性肺疾患)が47%増、糖尿病が45%増。

   病気になる高齢者が増加すれば、治療と世話の経費が上昇し、医療・介護の人員増が必要になるが、高齢化社会では社会保険料を払う就業者数が減少し、医療・介護人員が不足するため、十分な治療・世話が困難になる。2020年からは疾病保険コストが急上昇する一方で、ベビーブーム世代が年金受給者の年齢に達する。

   就業者数は2050年までに約5000万人から3550万人に減少する。就業者が35%減少するのに対して、高齢ゆえに就業できない人は38%増加する。従って、疾病保険制度の労働力不足が深刻になる。

   ベスケ氏によると、予防と医療の進歩がどの程度の負担軽減をもたらすのか、どんな病気が新たに発生し、どの病気が治療可能になるのか、改善された疾病保険制度が平均寿命の上昇とそれに伴うコスト増に作用するのかなどの問題は不透明である。

   しかし、国民全体が医療の進歩の恩恵を受けられれば、そのサービス給付が大きな経費をもたらすことは確実である。ベスケ氏は、疾病保険制度を将来の支出増加に備えるよう国に求めている。例えば、完全給付するサービスと一部給付するサービスの検討など。また、外国の水準を遥かに超えるサービス給付を要求するドイツ人のメンタリティーを批判している。ドイツ人は自己負担に備えなければならないという。

2009年8月28日)

戻る