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欧州裁判所、リースター年金規定はEU法に違反する

   

    欧州裁判所は 910日(木)、外国に住む年金受給者に対するリースター年金規定の様々な制限はEU法の「移転の自由」に違反するとする判決を下した。連邦政府はリースター年金規定を改正しなければならない。

   ドイツでは2002年から、民間追加年金保険(リースター年金保険)に加入すると、国からの補助金と免税で助成されるが、年金は課税されるようになった。

   しかし、年金受給者が外国へ移住すると、ドイツ国庫の権限が及ばなくなるため、ドイツの税務署はすでに支払った補助金の返済を移住者から要求している。ドイツで無制限に納税義務がある場合にのみ、国の補助金が支給される。

   また、住宅リースター保険はドイツ国内の不動産購入だけに適用され、外国で購入する不動産には適用されない。

   さらに、ドイツで働いて、外国に住んでいる越境者には国の補助金に対する請求権がない。現在、約 67000人が仕事のために国境を往来しているが、これらの越境者はドイツで働いて社会保険料を払っているが、外国に住んでいるために外国で課税されている。

   欧州裁判所は、これらの規定はEU法の「移転の自由」の原則に反すると判断した。現行のリースター年金保険規定では外国人加入者と外国に住む加入者が不利に扱われているという。

   連邦財務省はこの判決を受けて、できるだけ早急にリースター年金保険規定を改正すると発表した。2009年3月31日現在、リースター年金保険加入者は1240万人を超えている。

   欧州政治センター(CEP)は、リースター年金規定改正による税収減は約 5億ユーロに達すると試算している。

   消費者保護団体によると、年金生活者の約 6%が外国で生活している。特に若いドイツ人と退職後自国へ帰りたい外国人にとってリースター年金保険が魅力的になると、同団体は判決を歓迎している。

2009年9月22日)

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