オバサンの独り言

 

  電話会社やプロバイダー、航空会社などの顧客サービスに電話をすると、話し中が多く、何度もかけ直さなければならない。

   やっとつながったと思ったらコンピューターの声で「しばらくお待ちください」。繰り返す煩わしい音楽を聞かされながら長いこと待たされた挙句、ようやく出てきた社員は無情にも「その件については・・・におかけください」。

   長時間待たされたうえに、期待していた回答を得られなかったという腹立たしい経験をした人が多いのではないだろうか。

   このサービスホットラインの長い待ち時間が儲かるビジネスになっているという。顧客の待ち時間が長引けば長引くほど電話料が嵩むので、何のサービスもしていないうちから収入が増えるというわけだ。

   意図的に待ち時間を長くしている会社もあるらしい。最初から自動的に待たせるようなシステムにしている企業もあるというから悪質極まりない。

   そこで、アイグナー連邦消費者大臣は、顧客を意図的に不相当に待たせて収入を上げる悪徳商法を阻止するために、法律改正を計画しているという。

   「漸く・・・」という感はあるが、悪質企業から消費者を守る法律改正に期待したい。

   顧客サービスといえば、先日、実に不愉快な経験をした。親戚の者がミュンヘンからの直行便で日本へ帰った時のことである。

   チェックインの際に、「免税手続きのためにスーツケースを税関に持っていかなければならない」と念を押したにもかかわらず、ブスッとした中年の女性職員が誤ってボタンを押してしまったために、あれよあれよといううちにスーツケースがベルトコンベヤーで運ばれて行ってしまったのである。

   出発までにスーツケースを返してもらうのは無理だという。「日本の税関(!)でスタンプをもらえるから大丈夫よ」と馬鹿なことを言い張るので、「あんたでは話にならないから上司を呼んでほしい」といったところ、若い男性職員が出てきた。

   航空会社の完全ミスであることを認めたうえで、「日本のドイツ大使館に免税手続き書類と領収書を郵送すれば、例外的に処理してくれるので、全く問題ありません」とのたまう。

   しかし、長年ドイツに住んでいると、文書による証拠の必要性を思い知らされているので、事情を記した手紙を書いてほしいと頼んだ。「正式な手紙は書けない」の一点張りだったが、こちらも引き下がらない。渋々、ミスによるトラブルを認める手紙を書き、名刺をつけて渡してくれた。

   ところが、親戚の者がドイツ大使館に電話すると、話は全く違っていた。例外的に対処してくれるとか、郵送なんて全くのウソ。品物を持って大使館に行かなければならないうえに、領収書1件当たり 20ユーロの手数料がかかるというのだ。

   あの男性職員に電話しようとして気付いたのだが、名刺に電話番号はなく、住所とメールアドレスだけ。メールを書いたが、未だに回答はない。

   航空会社のミュンヘン空港事務所に電話したところ、出た職員はミュンヘン空港ではなくイスタンブールにいる職員だった。その後四回たらい回しされ、そのたびに同じ説明をさせられた挙句、最後は「苦情、問い合わせはFAXか郵便でしか受け付けない」という。

   まるでカフカの「城」のようではないか。周りをぐるぐる回されただけで、肝心の職員本人と話すことはできなかった。苦情の手紙を郵送したが、未だに回答はない。

   結局、ミスを認めた手紙のお陰で、日本支社が手数料と交通費を賠償してくれることになったが、職員の言うことを鵜呑みにしていたら泣き寝入りに終わっていたことだろう。「論より証拠」を改めて痛感した。

   コスト削減とグローバル化の時代にはCall Center は思いも寄らないところにある。問い合わせや苦情の受付をFAXにしているのは、文書を書くという高いハードルがあれば顧客が面倒だから諦めるだろうと期待しているからか・・・。

   最近は、 電話の待ち時間を意図的に長引かせて儲ける「顧客サービス」もあれば、電話連絡先を公表しないで問い合わせをし難くしている「顧客サービス」もあるようだ。

   しかし、これは「企業(のための)サービス」である。「顧客」の名に恥じないサービスを望みたい。

2010年4月15日)

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