ドイツのニュース

移民の約15%はドイツ社会への統合を拒否

   

     連邦移民・難民局(BAMF)が作成した「統合プログラム」によると、約110万人の移民(成人)はドイツ語を話せないか、十分に話せない。ドイツ語・統合コースの参加者の約30%はコースを中断している。移民の10%から15%はドイツ社会に統合する意思がないという現状が明らかになった。

    連邦内務大臣は、この状況を鑑み、ドイツ社会への統合を拒む移入者に対する制裁の可能性を検討しなければならないと語った。統合コースへの参加を拒否した外国人には滞在許可の更新を拒否する可能性についてEUレベルで論議する必要性を指摘した。

    アンケート調査結果によると、自らが「ドイツ語を全く話せない~中位」と回答した人は、トルコ人女性では52,8%、ギリシャ人女性では37,5%だった。ポーランド人男性の44,7%は「あまり話せない~良くても中位」と回答している。

    連邦移民・難民局によると、ドイツに住む約180万人の移民はドイツ語習得の支援を必要としているという。特に、移民背景を持つ生徒約340万人における統合を強化しなければならないと指摘している。

    移民背景を持つ生徒では、中途退学している生徒の割合が15%で、非移民系のドイツ人生徒(6,5%)の 2倍以上である。社会的出身と学力の関連性をできるだけ早い時期に修正することが重要で、特に小学校入学前の早期ドイツ語習得が必要であるという。

    しかし、連邦内務大臣は幼稚園入園義務化については、「無料化が前提になるため、コストが高すぎる」として否定的である。それに対して、職業学校でドイツ語と数学の補習をするというOECDの提案は有意義だと評価している。

    2005年に導入されたドイツ語・統合コースでは、ドイツ語授業が600時間、ドイツの法律・歴史・文化の授業が45時間で、この基礎コースに加えて、職業向けドイツ語コースなどの補習も提供されている。これまでに約60万人が参加した。その内の 3分の2は女性。

    新規移民とハルツIV(失業手当 II)を長期受給している移民はドイツ語・統合コースへの参加を義務付けられている。参加を拒否すると、雇用局は失業手当 II を削減することができる。しかし、可能な制裁措置を実際に実施するケースが少ないことに問題があるという指摘もある。

    連邦政府の「統合プログラム」は、移民背景を持つ市民に機会均等と経済的・社会的・文化的・政治的生活への同権の参加を実現することを目的としており、対応措置(特にドイツ語習得促進)における連邦と州、市町村の連携の改善を勧告している。

2010年9月17日)

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