ドイツのニュース

社会福祉施設、非軍事役務の停止に備える

   

     ドイツでは、2011年7月1日からの兵役停止に伴い、代替役務である非軍事役務も停止する。意思に反して兵役ないし非軍事役務に召集されることはない。非軍事役務は最終的に今年末に終了する。(20101222日のニュース参照)

   これまで非軍事役務の恩恵を受けていた病院や社会福祉施設、介護施設などは、「非軍事役務が停止すればドイツ社会福祉制度は崩壊する」と兵役停止に反対してきた。非軍事役務者の労働は雇用市場では年間約18億ユーロに達すると試算していた。

   しかし、連邦政府の兵役停止決定後は大きな反対の声は聞かれなくなった。幼稚園や病院、社会福祉施設、介護施設などは、兵役停止に備えて、若者の任意社会研修期間を組織する機関との連携を模索しており、将来は任意で社会研修をする若者の採用で非軍事役務の穴を埋める意向である。

   病院の団体は、「非軍事役務の停止は損失ではあるが、従来の介護サービスが損なわれることはない」としている。ドイツの病院では40万人の介護士が従事しており、13000人の非軍事役務者は追加任務にのみ投入することが認められていたという。

   ドイツカリタス連盟(カトリック教会の福祉団体)によると、これまでも非軍事役務期間が短縮されてきたため、多くの施設では早くから非軍事役務者なしで賄うことを余儀なくされてきた。今後は名誉職のボランティアとミニジョブで非軍事役務者の穴を埋めるという。また、政府が2011年7月1日から導入する公益活動のための新しい「連邦任意役務」の任意役務志願者の職場も創出していく計画である。

   シュレーダー連邦家庭大臣は年間約 3万5000人の任意役務志願者を見込んでいる。役務期間は通常12ヶ月間で、男性も女性も志願でき、年齢制限もない。連邦政府はこの新しい任意役務制度に大きな期待をかけている。

   しかし、介護関連施設や病院では年間 35000人という政府の志願者数予測を楽観的すぎると見ている。これまでは、若い男性が非軍事役務における経験から社会福祉や保健関連の職業に就くケースが多かったが、非軍事役務の停止により、これらの職業に就く男性が減少することを懸念している。

2011年1月25日)

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