ドイツのニュース

親よりも高い教育水準の子供は20%だけ

   

    経済協力開発機構(OECD)の教育報告書によると、ドイツの教育制度は依然として社会的弱者に不利になっていることが明らかになった。大学進学者は増加しているが、多くの子供は親の教育水準に達していない。

    ドイツでは、親よりも高い教育水準に達している子供(25歳~34歳)は20%にすぎず、22%の子供の教育水準は親よりも低い。

    OECD平均は、親よりも高い教育水準の子供が37%、親よりも低い教育水準の子供が13%だった。

    ドイツでも大学進学者が増えている。1990年代は大学進学者が30万人以下であったが、2011年は約50万人だった。しかし、その内の6%だけが親の教育水準より高かった。OECD平均は17%。

    OECDによると、例えばフィンランドでは社会的弱者の不利な立場が学校制度の中で補われているが、ドイツではそれが困難である。特に移民の子供は不利な家庭環境に加えて、学校制度の中でも不利に扱われているという。

    ドイツでは大学卒業者の割合が1995年の14%から2010年は30%に上昇したが、OECD平均(39%)を下回っている。大学入学者の割合は1995年の26%から42%に上昇した。OECD平均は37%から62%に上昇している。

    国内総生産に占める教育支出の割合はOECD平均が6,2%であるのに対して、ドイツは5,3%だった(37か国中29位)。デンマーク、イスラエル、韓国、ニュージーランド、米国は7%を超えている。

    しかし、ドイツでは教師への支出は高い。ドイツの高校教師の年間所得は最高で76000ドル、OECD平均は5万ドル弱だった。

    シャヴァン連邦教育相は、「父親が大学教授で息子が眼鏡屋であることは「格下げ」ではない」として、ドイツの職業教育が高く評価されていることを強調した。

    それに対して、OECDの専門家は、「生活水準を向上させ、社会的不公平を改善するためには教育がより効果的である」としている。

    一方、マンハイム欧州社会研究センターの調査結果によると、大卒者の子供が大学に進学するチャンスは教育水準の低い親の子供の約6倍も高い。

    1970年は教育水準の低い親の子供の15%が大学入学資格を取得したが、現在は約35%に増加している(大卒の親の子供では60%から70%)。しかし、その半分以上は職業専門学校ないし専門高等学校のコースから専門単科大学入学資格を取得している。しかもその内の50%しか大学に進学していない。1970年は80%だった。大卒の親の子供では、高校卒業資格取得者の90%が総合大学に進学している。

    教育水準の低い親の子供は、大学進学のチャンスがあっても思い切ってそれを生かす勇気に欠けているのだという。そこで、専門家は、早い時期に生徒に進学相談をして、大学に関する情報を提供するよう求めている。

    教育水準の低い親の子供にはギムナジウム(高等学校)は「門戸開放」ではなく、 「社会選択的」である。大卒でない親の子供では、ギムナジウム(高校)卒業資格取得者は17%に過ぎない。

2012年9月25日)

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