ドイツのニュース

性刑法改正が発効

   

    連邦参議院は20141219日(金)、児童及び青少年を性的虐待から守るために性刑法を厳しくする刑法典改正案を可決した。連邦議会がすでに1114日(金)に同法案を可決していることから、刑法典改正が成立した。連邦官報における公布を持って発効する。この改正により、ドイツはEUの性刑法を国内法に移行する。(20141014日のニュースを参照)

    刑法典改正の要旨は次の通りである。

  • 時効が延長される。性犯罪の時効は被害者が30歳になるまで休止する。現行法では21歳まで休止。性犯罪の刑法上の時効は、特に子供の性的虐待において、被害者が30歳になった時点から開始する。従って、重い性犯罪(時効期間20年)は被害者が50歳になる前に時効になることはない。

  • 児童及び青少年の裸体写真・画像の作成と所持は、それが販売ないし交換のためである場合は処罰される。

  • 児童ポルノの所持と転送は禁止される。これは児童及び青少年の「不自然に性を強調する姿態」の写真・画像、「衣服を着けていない性器や臀部」を示す写真・画像などに適用される。

  • 児童ポルノわいせつ物の所持は最高3年の自由刑を科せられる。

  • 撮られた人に著しい損害を与える写真・画像、助けのない状態(無抵抗、自分ではどうすることもできない無力な状態)の他人を示す写真・画像(例えば、殴り合いの後のいじめの被害者の写真・映像)を無権限で第三者が入手できるようにすること(無権限の拡散)は処罰される(最高2年の自由刑)。この規定により、「ネットいじめ(Cybermobbing)」に対する保護が改善される。

  • 児童・青少年わいせつ物の概念における「衣服の全部又は一部を着けない児童の不自然に性を強調する姿態の写真・画像」(Posing)は処罰される。現行法でも「わいせつ物」の概念に含まれる児童・青少年の不自然に性を強調する姿態の写真・画像が罰せられるが、新規定の可罰性ではポーズが能動的である必要はない。例えば、そのような姿態で寝ている子供の写真・画像も処罰される。

  • サイバーグルーミングは処罰される。現行法では、「わいせつ物」(原則的に記憶媒体だけ)が被害者に影響を与えた場合にのみ可罰性がある。新規定では、「わいせつ物」だけでなく、すべての近代的な情報通信形態に適用される。例えば、電話回線のようなデータ回線だけの情報伝達の場合にも可罰性がある。

    児童及び青少年の裸体写真・画像の営利目的の作成、頒布が処罰されるが、多くの親が日常生活で撮る子供の写真・画像(浜辺での写真・映像など)は犯罪の対象にならない。

   マース連邦法務大臣は、各方面からの批判を受けて、法案を何箇所か修正した。例えば、「衣類を着けていない人(成人)を撮った写真・映像の無権限の作成」の禁止は除外された。児童及び青少年の場合はその作成が販売・交換目的である場合に処罰される。

2015127日)

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