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2015年から新しい家族介護期間が導入される

   

    201511日に新しい家族介護期間が導入された。

    現在、ドイツには約263万人の要介護者がおり、その大部分が家で家族に介護されている。家族にとって介護は大きな負担である。子供の養育と仕事に加えて家族の介護もしなければならない人には支援が不可欠である。

    201511日に発効した「仕事と介護の両立改善に関する法」は家庭と介護と仕事が支障なく成り立つようにすることを目的としている。

    「仕事と介護の両立改善に関する法」によると、被雇用者は6ヶ月間、完全介護期間あるいは一部介護期間を取得できるだけでなく、家族介護のために最高24ヶ月間、週労働時間を15時間まで短縮することができる。

    介護期間家族介護期間はそれぞれの介護状況に合わせて取ることができる。

    1)  緊急の場合、賃金補償のある10日間の介護休業

    これまでも緊急の場合に10日間介護休業することができたが(無給)、201511日からは要介護の家族のために最高10日間、賃金補償を請求することができる。この介護支援金(実質賃金の約90%)は要介護者の介護保険に申請できる。会社の規模に関係なく、すべての企業に適用される。介護休業が終了するまで解雇からの保護がある。

    2)  無利子貸付のある最高6ヶ月間の完全介護期間ないし一部介護期間

    介護期間法に基づいて、最高3ヶ月の看取り介護を含む最高6ヶ月の一部介護期間(労働時間短縮)ないし完全介護期間(無給)を取る被雇用者は、201511日から無利子の貸付による支援を請求する権利を有する。生活維持のためのこの貸付は連邦家庭・市民社会局(Bundesamt für Familie und zivilgesellschaftliche Aufgaben)に直接申請できる。この貸付は月々に支払われ、原則的に介護期間により不足する実質賃金の半分を補う。それより低い貸付を申請することもできる。また、要介護の未成年者の施設介護にも適用される。介護期間終了まで解雇からの保護がある。この介護期間請求権は従業員数15人以下の企業には適用されない。

    3)  無利子貸付のある最高24ヶ月間の家族介護期間

    6ヶ月以上の比較的長い期間、要介護の家族を在宅介護しなければならない人は、家族介護期間法に基づいて、家族介護期間を請求する権利を有する。201511日から被雇用者は最高24ヶ月間、週労働時間を15時間まで短縮して家族介護期間を取ることができる。この家族介護期間には無利子貸付を請求する権利がある。要介護の未成年者の施設介護にも適用される。使用者は家族介護期間終了後に本人の希望に基づいて週労働時間を再び増やさなければならない。家族介護期間終了まで解雇からの保護がある。この家族介護期間請求権は従業員数25人以下の企業には適用されない。 

    最高3ヶ月間の看取り介護期間を請求することができる。この3ヶ月間は24ヶ月間の家族介護期間に算入される。

    介護期間家族介護期間請求権は「近い親族」の介護に適用される。祖父母、両親、義理の両親、配偶者あるいは(夫婦に類似した)パートナーの介護だけでなく、継父母、義兄弟、義姉妹も含まれる。兄弟姉妹、子供、養子、里子、(自分の子の)嫁と婿、孫も「近い親族」とみなされる。

    また、要介護の「近い親族」の在宅介護のほか、要介護の未成年者の施設介護、「近い親族」の看取り介護にも適用される。

    被雇用者は介護期間と家族介護期間を合わせて全部で最高24ヶ月間請求することができる。何人かの家族が介護期間と家族介護期間を分担してとることも並行してとることも可能であり、フレキシブルに組み合わせることができる。

2015127日)

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